■山下さんの船上ホタルイカ沖漬

by corporationotatsusyoten

越前カレイの開発で越前に頻繁に伺ってた頃、漁師である幹昌丸の山下さんにとても可愛がってもらった。片町にしょっちゅう一緒に飲みにいき、山下さんはいつも「俺の作るホタルイカの沖漬けは美味いよー。船の上で活きたままタレに漬けるから、タレを身の中の中まで吸い込んどるのよ。」と数多のお姉様がたに自慢をしていたのを横で静かに聞いていた。漁師さんの仕事はとる魚ごとに時期が違うため、山下さんに次のホタルイカのシーズンは必ず欲しいと伝えたが、「いっぱいは作れないよ!」といつも釘をさされていた。ホタルイカのシーズンが到来し、早速サンプルが送られてきたので中身を見ると、言われたとおり、身が中の中まで真っ黒で、さらに味見をしてみると、全てに味が染み渡っておりワタの甘みとのバランスが絶妙だった。市販のものと比べたところ、市販のものはホタルイカが死んでから漬けているせいか、タレから出すと身が白く、比べ物にならなかったので、すぐに山下さんに懇願し、容器を大きくしてもらい、タレを多めに作ってもらい、作れた分を全部送ってもらうようにしたが、店で小分けにしている先から売れていき、口コミでさらに注文が増え、まさに飛ぶように売れた。今では漁連さんの協力のもと、現地の工場でパッキングと冷凍保存されており、「いっぱい作れる」ようになったため、通年での販売が可能となった。何気ない一言から商品が生まれる一例ですが、こんな風に漁師さんや現地の方々と懇意にさせてもらい、お酒を飲みながら開発のアイデアがまとまることも多いので、ご興味のある産地の方は是非お誘いくださいますようお願い致します。