■室津の加熱用殻牡蠣
by corporationotatsusyoten
兵庫県たつの市室津という場所はカキ養殖が盛んで、理由としては海の養分が豊富な漁場を持ち、産卵をせずに身入りの良いカキ、いわゆる「1年カキ」の生産が有名な産地です。室津の場合、カキの主な出荷形態は「むき身」で、カキをむき身で出荷するためには「むきこさん」と呼ばれる人たちを雇って製造する必要があります。またカキの出荷シーズンは12月から5月の6ヶ月間と雇用期間が短く、製造量を増やそうと考えても人員の確保が非常に難しい状況でした。そんな中、以前から懇意にさせていただいていたカキ養殖の漁師さんから「殻付きのままカキがうれないかなぁ」との相談を受けました。東京の市場ではもともと殻付きの状態でカキが販売されていることが多いので、お客様の殻付きカキ自身への抵抗感はないのですが、問題は「生食用殻付きカキ」の認可だったのです。東京で生食用カキを販売する場合、十数項目の検査が必要なので1シーズンの検査費用だけでもかなりの金額になり、当然そのコストは商品単価に反映されます。但し「加熱用カキ」だと検査費用を減らすことができるため価格設定を低く抑えることができます。そこで懇意にさせていただいている飲食店のオーナーさんに加熱用カキのメニュー開発の相談にいき、生まれたのが「カキのがんがん焼き」というメニューです。アルミ缶にカキと酒を入れ一気に蒸すという漁港のご当地グルメを缶の製造からお客様への提供方法まで工夫を重ねた結果、大人気メニューとなり一気に広まりました。このように尾辰では産地の漁師さんと飲食店のオーナーさんとのコラボレーションを作り三位一体の開発作業のお手伝いをさせていただいております。